Jazz Word か行
Jazz Word
【カ】
カンザス・シティ・スタイル kansas city style
スウィング・ジャズの母体となったスタイルの一つで、カンザス・シティで活躍したベニー・モーテンのオーケストラおよびこれを継承した初期のカウント・ベイシー・オーケストラによって代表される。
【キ】
キー key
「かぎ」「手がかり」「ヒント」「キーボードの鍵」など。音楽では、「(オルガン・ピアノ・吹奏楽器の)鍵」を指すほか、「((声の)調子」や「(長短の)調」を表わす。音階の主音の高さを指定するもの。
ギグ gig
演奏。もとは「一頭引き二輪馬車」「船長専用船載小型ボート」や、漁具である「?」あるいは「?で魚やカエルなどをとること」を指す。音楽では演奏会やパフォーマンスを表わす際に用いられ、ジャズでは特に一回ごとの契約に基づいて行なう演奏家などの仕事を意味するようになった。
【ク】
クァルテット quartet
四人組。四重唱(奏)、四重唱(奏)曲(団)。ジャズでは、四重奏団を指すことが多い。ジャズの四重奏団では、ピアノトリオ(べースとドラムス)に管楽器という編成が多く見られる。
クィンテット quintet
五人組。五重唱(奏)、五重唱(奏)曲(団)。ジャズでは、五重奏団を指すことが多い。ジャズの五重奏団では、ピアノトリオ(べースとドラムス)に2本の管楽器(主にトランペットとサックス)という編成が多く見られる。
クール・ジャズ cool jazz
1946年~1949年ごろのビバップの即興性により各演奏家のソロヘの依存度が増したことで演奏のマンネリ化を招く弊害が浮上。その反動から、アレンジを綴密にしてトータル性を重視したサウンドヘの見直しを図る動きが顕著になった傾向のジャズを指す。英国から渡って来たジョージ・シアリングが組んだクインテットに人気が集中した。またレニー・トリスターノ(p)はリー・コニッツ(as)と組んでスイング感を極度に押さえた知的なジャズを演奏した。それらは総称してクール・ジャズと呼ぱれた。一方ギル・エヴァンス(p)とマイルス・デイヴィス(tp)の初期のコンビネーションによる作品をクール・ジャズということもある。
クラブジャズ club jazz
1970年代のディスコ(ティック)、1980年代のヒップホップといったダンス音楽を核とする文化の創造や交流の場として発展してきた空間(店)が、1990年代になってさらに細分化。主に、レア・グルーヴと呼ばれるブルースやファンク色の濃い1960~1970年代ジャズに興味をもつ人たちに支持された空問=クラブで発達したジャズ系統の音楽を指す。
クリシェ cliche
「慣用句」「決まり文句」の意のフランス語。音楽では、よくある楽譜上のパターンを指し、メロディ・クリシェとハーモニー・クリシェに大別される。それを聴いてだれもが同じイメージをもてるという安心感を生む効果がある反面、陳腐でマンネリだという評価も受けやすい。ジャズのイディオムは、ジャズ特有のクリシェの存在によって形成されるが、クリシェを否定することもジャズでは許される。
クリック click
「カチッ」という音を表わす英語の擬音語。音楽では、テンポのガイドとなる効果音を指して、メトロノームと同義に使われる。「ドンカマ」と同じ。
グリッサンド glissando
イタリア語の「すべるように」が転じた音楽用語。音階をすべるように演奏すること。鍵盤や弦などのうえに指を迅速にすべらせる奏法。
グルーブ groove
「革の跡」「轍」「(レコードや敷居の)溝」を表わす語。ジャズでは、「楽しいとき(経験)」を指した俗語が転じて、演奏の躍動感を表わす言菓として用いられる。
クロスオーバー crossover
ジャズにロックやラテンなどが混じり合って生まれたジャズ系音楽のスタイル。1960年代後半から1970年代にかけて大きく発展を見せた。1970年代後半からは徐々に「フュージョン」という名称が使われるようになり、一般的になっていった。ジャズのエレクトリック化と歩調を合わせたが、必ずしも同じ意味では使われない。
【コ】
コード chord
(弦楽器の)弦・和音のこと。ジャズでは和音をローマ数字であらわさず、根音の音名に和音の形を示す記号を添えてあらわす。C7、Fm7など。「コードネーム」の略にも用いられる。
コード・プログレッション chord progression
和音の進行のこと。ジャズでは素材となる曲のコード・プログレッションをサブ・コード(代理和音)を用いたり、リハーモナイズ(別の和声づけをする)したりしてその演奏者やグループの好みのものに変えることは日常的に行なわれている。
コーラス chorus
合唱(曲)(団)。ジャズでは、楽曲で主題を提示している部分を指し、序奏部分とは区別されて繰り返し演奏される。テーマ又はテーマのコード・プログレッションの1回分のこと。1コーラスは32小節の曲が最も多いが、12小節から64小節ぐらいまでいろいろの長さがある。もとは、賛美歌で繰り返し歌われる折り返し部分を指した。「リフレイン」と同じ。
コピー copy
真似る。模写する。音楽では、楽曲を聴いて、譜面に起こすことを指す。また、優れた演奏を(生やレコードで)聴いて、同じように演奏すること。これは、演奏練習の重要な部分を占めるものとされる。ただし、オリジナリティを優先させるジャズの考え方のなかでは、必ずしも重要な方法論ではないとする意見もある。
コンピング comping
コードにリズムをつけて演奏すること。
コンボ combo
ジャズの小編成バンド(4~7人ぐらい)を指した語。「マイルス・デイヴィスのコンボ」という場合、クァルテットやクィンテットを指すことが多い。反対語は、ソロ、ビッグバンド、オーケストラ。